放送大学25年 改善と改悪
もう1週間以上前だが、放送大学から分厚い封書が届いた。
今学期の成績通知書と単位修得状況一覧である。合計で
5枚。総単位数が 531+(他大学修得)30 で合計561単位。
今年から成績通知が早くなって、結果を見てから次学期の
科目登録が可能になった。しかもシステムWAKABAを
使えば、より早く成績確認も登録もできる。
開学当初は3学期制だったので、1学期が始まるとすぐ
2学期の科目登録をし、2学期が始まるとすぐ3学期の科目
登録と1学期の不合格科目の再受験申請(2学期試験用)
が必要という慌ただしさだった。
試験日程も1年間は曜日・時間固定だったので、日曜日
午前中にあった英語 IIA の試験は、事実上必修に近いのに、
例えば神父・牧師などの職にある人は受験出来なかった。
家庭のPCとネット利用の科目登録など25年前には想像も
出来なかったが、それ以外のシステムでも、25年間に
徐々に改善されていると思われることは多い。
だが大学としてより本質的な点ではどうだろうか。
25年前、関東地方のごく一部にしか開かれていなかった
放送大学が、通信衛星などを利用して、全国各地で学生を
受け入れられるようになったことは、大きな改善に違いない。
しかし規模の拡大とともに、必修だった卒論は選択制になり、
通信指導も単位認定試験も、記述式が少なくなってきた。
つまり放送大学が単に知識を売る機関になってしまって、自分の
頭で考える人間を養成することをやめてしまったように感じる。
さらに売りものの知識のレベルにも問題が出てきた。ロシア語が
なくなり、フランス語もドイツ語も、かつては10単位分あった
放送科目が、わずか4単位になってしまった。文法だけ4単位
教わっても、せめて講読の初歩の講義がないと、専門書を
読むことは難しい。英語は科目数こそ変わらないが、中学・高校
の復習レベルのものも加わった分、平均的難易度は下がった。
この25年の間に、少子化にもかかわらず大学の数は増え、
当然のように大学の2極分化が進んで、放送大学に限らず
世間の多くの大学で、大衆化とレベルの低下が問題に
なっている。
しかし、国がバックアップし、授業内容が公開されている
放送大学では、世間の風潮に流されず、大学のレベルを
維持して、大学教育の規範となるような姿勢を保って欲しい
ものである。
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